中小企業が脱炭素経営に取り組む5つのメリットと具体的な手順を解説
- 脱炭素経営
地球温暖化問題が深刻化する中、企業に対しても脱炭素経営への取り組みが求められるようになってきました。
特に中小企業においては、経営資源に制限がある中で、どのように脱炭素化に取り組めばよいか悩む企業も多いのが現状ですよね。
そこで本記事では、中小企業が脱炭素経営に取り組むメリットを5つご紹介するとともに、具体的な取り組みの手順について解説します。
中小企業の経営者の皆様の脱炭素化への取り組みの一助となれば幸いです。
目次
脱炭素経営とは?
まず、脱炭素経営とは何なのか、簡単にご説明しますね。
簡単にいうと、「脱炭素経営」とは、企業活動によるCO2の排出を減らすことで、地球温暖化を防ぐ経営のことです。
地球温暖化が深刻化しているため、気候変動対策(≒脱炭素)が急務となっております。そのための「脱炭素経営」というわけですね。
ちなみに、環境省によると、脱炭素経営の定義は下記のとおりです。
脱炭素経営とは、気候変動対策(≒脱炭素)の視点を織り込んだ企業経営のこと。従来、企業の気候変動対策は、あくまでCSR活動の一環として行われることが多かったが、近年では、気候変動対策を自社の経営上の重要課題と捉え、全社を挙げて取り組む企業が大企業を中心に増加しております。
地球温暖化は、とても深刻な問題です。地球温暖化の原因の多くは、企業活動によって排出される二酸化炭素(CO2)です。
そのため、企業は「脱炭素経営」に取り組むことが大切になっています。
具体的には、次のようなことに取り組みます。
- 省エネ設備の導入
- 再生可能エネルギーの活用
- 製品やサービスのグリーン化
- 社用車の電動化
- 社内のペーパーレス化 など
このように、企業が自分の活動から出るCO2を減らすことで、地球温暖化を防ぐことができるのです。
中小企業に脱炭素経営が求められている背景
地球温暖化が深刻な問題になっている中、世界中の企業に「脱炭素経営」が求められるようになってきました。
そのため、アップルやGoogle、トヨタといった世界的な大企業がどんどん脱炭素経営を推進しています。
では、なぜ中小企業にも脱炭素経営が必要なのでしょうか。影響力が大きい大企業だけでよいのでは?と思いますよね。
中小企業にも脱炭素経営が求められる理由は主に3つあります。
理由1:環境意識の高まり
近年、環境保護に対する関心が高まっています。
理由は言われるまでもないですよね。地球温暖化が進み、環境問題(生態系問題含む)が無視できないレベルになってきたためです。
実際に、IPCC(「気候変動に関する政府間パネル」、IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)のAR6(第6次評価報告書)によると、地球温暖化は人間の活動が原因であることに議論の余地がないと明言されました。
AR6に関しては、気象庁がわかりやすくまとめているので参考になさってください。
というわけで、企業にも規模を問わず、環境に配慮した経営が求められるようになってきました。
理由2:法規制の強化
政府は、企業のCO2排出量を削減する法律を作ったり、税制の優遇措置を設けたりしています。
理由はそこまでしないと脱炭素社会の実現が困難だからです。
例えば、大企業を対象とした温室効果ガス排出量取引制度の導入や、省エネ法の対象範囲の拡大など、企業の脱炭素化を後押しする施策が行われています。
中小企業も、これらの法規制に確実に対応する必要があります。
対応が遅れると、罰金の支払いや事業活動の制限など、深刻な影響を受けかねません。
理由3:社会的要請
企業には、株主やお客様、取引先企業からも、環境に配慮した経営を行うことが求められるようになってきました。
ESG投資の広がりなどを背景に、企業の環境対策の取り組み状況が、投資家や取引先の評価に直結するようになっています。
つまり、中小企業は、法規制への対応、顧客ニーズへの対応、そして地球温暖化問題への貢献など、さまざまな観点から脱炭素経営に取り組むことが求められているのが現状なのです。
脱炭素経営に取り組むことで、企業にもたくさんのメリットがあります。
例えば、 光熱費の削減 や企業イメージの向上、人材獲得などですね。
そのため、やらされている感で取り組むのではなく、積極的な脱炭素経営がベネフィットをもたらすと言えるでしょう。
次章では、脱炭素経営に中小企業が取り組むメリットをより詳しく解説します。
中小企業が脱炭素経営に取り組む5つのメリット
中小企業が脱炭素経営に取り組むメリットは、環境省が「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック」で公開しています。
下記の5つですね。
優位性の構築
脱炭素経営に取り組むことで、企業の競争力を高めることができます。
環境に配慮した製品・サービスの提供や、再生可能エネルギーの活用など、他社との差別化を図れるでしょう。
また、脱炭素化に先行して取り組むことで、業界内での優位な立場を築くことができます。
光熱費・燃料費の低減
省エネ設備の導入や、エネルギー消費の効率化により、光熱費や燃料費の削減が期待できます。
特に中小企業にとって重要な経営資源である資金を、無駄なコストから節約できるのは大きなメリットです。
知名度や認知度の向上
環境配慮型企業としての評価が高まり、企業イメージの向上につながります。
ESG投資の対象となりやすくなったり、顧客や取引先からの信頼も得られるでしょう。
これにより、ブランド力の向上や新規顧客の獲得にもつながる可能性があります。
社員のモチベーションアップ・人材獲得力の強化
脱炭素経営に取り組む企業は、社会的責任を果たしている企業として、優秀な人材を惹きつけやすくなります。
また、社員の環境意識を高め、モチベーションの向上にもつながります。
人材の確保と定着は、中小企業にとって喫緊の課題であり、大きなメリットといえるでしょう。
資金調達における優位性の獲得
近年、ESG投資の広がりを背景に、脱炭素化への取り組みが資金調達の有利な条件につながることがあります。
環境配慮型企業として評価されれば、低金利の融資や、補助金・助成金の獲得などが期待できます。
中小企業にとって、資金調達面での優位性を得られるのは大きなメリットです。
以上のように、中小企業が脱炭素経営に取り組むことで、様々なメリットを得られる可能性があります。
企業の競争力強化や経営基盤の安定化など、中小企業にとって大きなプラスの効果が期待できるのです。
中小企業が脱炭素経営に取り組まないリスク
脱炭素経営に取り組むメリットがある一方で、取り組まないリスクも存在します。
ここでは、リスクについて解説しますね。
法規制への対応ができず、罰金や事業制限を受けるリスク
政府による温室効果ガス排出規制の強化など、企業の脱炭素化に向けた法規制が年々厳しくなっています。
脱炭素経営に取り組まない中小企業は、これらの法規制に対応できず、罰金の支払いや事業活動の制限を受けるリスクがあります。
顧客や取引先から敬遠されるリスク
近年、企業の環境配慮への取り組みが顧客や取引先の評価につながるようになってきました。
上場企業を中心に、CSR情報と関連させて取り組みを公開しているのは、自社ブランドの強化や投資家・顧客・取引先などへのアピールなんですよね。
脱炭素化に取り組まない企業は、ESG投資の対象から外れたり、取引先企業から選ばれなくなるリスクがあります。
企業イメージの悪化と人材確保の困難化 リスク
脱炭素経営に取り組まない企業は、環境に配慮していない企業としてのイメージが定着してしまう可能性があります。
実際に、米国のアップルは取引先企業に対して、使用する電力は再エネにするよう要請しています。
環境に配慮しない企業は、イメージが悪くなっていることが現実だからです。
脱炭素に取り組まないことで、優秀な人材の確保が困難になったり、企業価値の低下を招くリスクがあります。
新しい事業機会を逸するリスク
再生可能エネルギーの活用やグリーン製品の開発など、脱炭素経営は新たな収益源を生み出す可能性があります。
実際に、脱炭素社会の実現は困難であるとともに企業成長のチャンスですからね。
新技術はどんどん生まれていることが証左でしょう。
中小企業は経営資源に制限があるため、脱炭素化への取り組みを後回しにしがちです。
しかし、上記のようなリスクを回避するためにも、早期の脱炭素経営への取り組みが重要になってきています。
中小企業が脱炭素経営に取り組む具体的な手順
ここでは、中小企業が脱炭素経営に取り組むステップを解説します。
下記5つの手順ですね。
ステップ1. 現状の把握
まずは、自社の CO2排出量や、エネルギー消費の実態を正確に把握することが重要です。
CO2排出量を可視化しないと、どこの部門がどれだけ排出しているのかわかりませんし、削減施策を考えることもできないためです。
自社の排出量を測定し、どの部門やプロセスからそれくらいの CO2が出ているのかを分析しましょう。
弊社のCO2見える化システム『Carbon Vision(カーボンビジョン)』は、中小企業でも無理なく取り組める料金設定であり、追加費用無しで脱炭素経営を伴走しますので、ぜひご検討ください。
詳細:https://nsgdenki.co.jp/carbon-vision/
ステップ2. 削減目標の設定
把握した現状を踏まえ、中長期的な CO2排出量の削減目標を設定します。
業界平均や、政府の削減目標などを参考に、自社に適した目標値を定めましょう。
中長期で、無理のない設定がポイントです。
ステップ3. 対策の検討・実行
目標達成に向けて、具体的な対策を検討し、実行に移します。
省エネ設備の導入、再エネ電力の活用、製造プロセスの改善など、様々な取り組みが考えられます。
この際は、自社のCO2排出量の見える化サービスを活用し、どこを削減すれば大きな効果が得られるか検討することがおすすめです。
CO2見える化サービスによっては、追加費用を支払うことで対策の立案~実行までを行う場合もあります。
一方、弊社の『Carbon Vision(カーボンビジョン)』のように、追加費用なしでコンサルティングを行うサービスもあります。
そのため、CO2見える化サービスは、見える化だけでなく削減までのサポートを見据えて選びましょう。
ステップ4. 進捗管理と見直し
定期的に CO2排出量の推移を確認し、目標達成に向けた進捗状況を把握します。
必要に応じて、対策の見直しや新たな施策の検討を行いましょう。
ステップ5. 情報開示と PR
自社の脱炭素化への取り組みを、積極的に情報開示し、PRしていくことが重要です。
Co2排出量の推移や環境問題への取り組みを公開している企業は徐々に増えてきています。
ステークホルダーの理解と支持を得ながら、企業価値の向上につなげていきましょう。
この5つのステップを着実に実行することで、中小企業においても脱炭素経営を推進することができます。
無理のない範囲から始め、継続的に取り組むことが成功への近道です。
中小企業が脱炭素経営に取り組む上での課題
中小企業が脱炭素経営に取り組む際には、いくつかの課題に直面することになります。
主な課題は以下の通りです。
資金面での制約
脱炭素化に向けた設備投資や、省エネ対策の実施には、一定の資金が必要となります。
場合によっては何千万円という費用が発生するでしょう。
大企業にとっては小さい金額かもしれませんが、多くの中小企業にとっては無視できない金額ですよね。
経営を圧迫しない程度に抑えつつ、投資を行う必要があります。
専門知識・ノウハウの不足
CO2排出量の把握方法や、具体的な削減策の立案など、脱炭素経営を推進するための専門知識やノウハウが不足していることも課題となります。
2024年9月時点では、脱炭素人材が世界中で不足しているため、中小企業においても例外ではないでしょう。
自社で専従チームを用意できるとしても、学習~実行までに1~3年は要するため、自社人員だけでは対応が難しい場合があります。
社内体制の整備と理解の普及
脱炭素経営を推進するには、組織全体で取り組む必要があります。
専門部隊と経営陣だけの問題ではないんですよね。実際に取り組むのは現場であり、やってもらうためには理解が必要なためです。
中小企業にかかわらず、部門間の連携が取れにくかったり、社内の意識醸成が十分でない場合があります。
外部支援の活用が難しい
中小企業向けの補助金制度やコンサルティングサービスなど、外部支援を活用することも重要です。
費用面だけでなく、ノウハウがわからなければ脱炭素経営に取り組みたくても取り組めませんからね。
専門家の助言を得たり、地域の支援機関を活用するなど、様々な方策を検討することが重要です。
そのため、脱炭素経営に取り組むためにCO2見える化サービスを導入するといっても、しっかりしたサポートを提供し、伴走してくれるサービスを選ぶ必要があります。
弊社のCO2見える化サービス『Carbon Vision』をご利用いただければ、追加費用なしでコンサルティングを行いますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ:中小企業が脱炭素経営に取り組むメリットはますます大きくなる
本記事では、中小企業が脱炭素経営に取り組むメリットと、具体的な実践手順について解説してきました。
中小企業にとって、脱炭素経営への取り組みは、確実にメリットが大きくなっていくと言えるでしょう。
まず、環境意識の高まりや法規制の強化により、脱炭素化への社会的要請は今後ますます高まっていきます。 これに対応できない企業は、顧客や取引先から敬遠される恐れがあります。
一方で、脱炭素経営に取り組む企業は、コスト削減や企業イメージの向上、新たな収益機会の創出など、さまざまなメリットが期待できます。 特に、ESG投資の広がりを背景に、資金調達面での優位性が得られる可能性も高まっています。
加えて、脱炭素化への取り組みは、社員の環境意識を高め、優秀な人材の確保にもつながります。 企業の競争力強化や、事業の継続性確保につながる重要な取り組みなのです。
中小企業においても、脱炭素経営に早期に取り組むことで、大きなメリットを得られる可能性が高まっています。 地球温暖化問題への貢献と、自社の持続的な成長の両立を目指すことが、中小企業にとって不可欠な経営課題となりつつあるのです。
脱炭素経営に取り組みたいけどノウハウがない、お金もかけられないという悩みをお抱えでしたら、弊社のCO2見える化サービス『Carbon Vision』を、ぜひお試しください。
『Carbon Vision(カーボンビジョン)』は、中小企業でも無理なく取り組める料金設定であり、追加費用無しで脱炭素経営を伴走しますので、ぜひご検討ください。
詳細:https://nsgdenki.co.jp/carbon-vision/
中小企業向けCO2見える化サービス『Carbon Vision』の事業開発責任者。
環境省認定制度『脱炭素アドバイザー ベーシック(GX検定ベーシック)』、『GX検定アドバンスト』資格保有。
経歴:埼玉県立熊谷高等学校卒→早稲田大学人間科学部人間環境科学科卒→株式会社NSGホールディングス(新電力新潟株式会社へ出向中)
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